ひとりごと

子どもの写真を撮るということ

子どもの写真を撮ることが多い。

一眼レフカメラを所有していることもあって、姪っ子を撮ったり、パパやママになった友人に子どもを撮ってと頼まれることもある。
前職でも子どもたち関わることが多く、日常の様子を撮ったり、イベントではカメラマンを任されていた。

「写真上手ですね。小松さんが撮った写真は子どもたちが本当に楽しそうに見えるんです。どんなことを意識しているんですか?」

ありがたいことにそう言ってもらえることが何度かあった。

そして、そう聞かれる度に困ってしまう。どんなことを意識しているのか、と。
そもそも、僕は自分で写真を撮るのが上手だなんてたったの一度も思ったことがなかったのだから。
それに全く何も考えていないわけではないけれど、特に何かを強く意識しているわけでもない。
だってプロではないし、好きで撮っているだけなのだから。

ただただ、必死にファインダーを覗いている。子どもたちの自然な表情を写真に収めようと。

たしかに、子どもが笑いながら、小さな指で笑顔の横にピースを作った写真はいい写真だと思う。

 

ただ、僕が撮りたいのは子どもたちのもっと自然な表情と姿だ。
げらげらと笑っていたり、口をへの字に曲げて必死に何かをしている様子だったり、ちょっと落ち込んでぽつんとしている後ろ姿だったり。

 

好きな写真家である杉山雅彦さんにお会いさせていただいたときに僕の心に強く残った言葉がある。

「写真はドキュメンタリーだ。」

そして、彼は写真集のなかでドキュメンタリーであるための3つのルールを挙げている。

「偶然であること、一瞬であること、真実であること」

僕はそれを何度も何度も自分の中でなぞってみた。

 

偶然であること、

 

一瞬であること、

 

真実であること。

 

写真を撮るというのは、立ち止まることなくぼうっと流れている大きな世界の一瞬を一枚の静止画として切り取る作業ではないだろうか。切り取るというか、何か大きなものを無理矢理に手の中に収まるサイズの一枚に詰め込むような作業というか。だから写真といういうものに僕は大きなパワーを感じるのだと思う。

あとは子どもたちの世界に入ること。

子どもたちの気持ちに近づいて、子どもたちの視線に合わせるようにしてカメラを構える。そして待つ。あとは、その瞬間がきたらシャッターを押すだけ。

 

パシャッ

 

ここには姪っ子以外の子どもの顔が写った写真はもちろん載せられない。
でも、僕のフォルダには子どもたちの素敵な写真がいっぱいある。それは僕が上手なわけではなくて被写体の子どもたちが素敵だからだ。だから、その素敵な子どもたちに少しでも近づくことができれば、それはもちろん物理的な距離ではなくて、子どもたちの気持ちに近づけた分だけ素敵な写真になるんじゃないかな。僕はそう思う。

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